30代を過ぎると組織の中核を担うことになり自ずと求められるリーダーシップ。
ではリーダーシップ(leadership)とは何でしょうか?
Wikipediaでは、最初の文で
リーダーシップ(英語: leadership)とは、指導者としての能力・力量・統率力
wikipediaより
と書かれています。
ですが端的すぎて何が何だか。。。
そこで、本記事では、「経営学の父」と呼ばれたドラッカーが説くリーダーシップについて簡潔に紹介したいと思います。
本書の紹介(リーダーシップ論)
今回ご紹介する本は、「まんがでわかるドラッカーのリーダーシップ論」 まんが:nev著, 監修:藤屋伸二(宝島社)となります。
本書のストーリーを3行でざっくり説明すると
- 仕事で大失敗して失意のうちに退職した女性が
- 地元に帰省後でなぜか「村おこし特命村長」に就任して
- そこで出会った人々との”ふれあい”の中で「リーダーの役割」を自覚していく
というものになります。(ストーリー上のキーワードはふれあいでした。)
本書のストーリーが知りたい方は本書を手に取って読んでみてください。
リーダーシップ論を語る前に
間違ったリーダーシップ(本書の主人公の場合)
事例1:部下の仕事もわたしのもの!わたしが全部やる!
まんがでわかるドラッカーのリーダーシップ論 / nev
主人公が退職に至った事例です。
新しくプロジェクトをまかされ、下に部下をつけてもらった主人公は、「頑張るぞ」と気合いを入れたのはよかったのですが、部下に仕事を渡すことをせず、「アレもコレもわたしがやっておくわ〜」と仕事を頑張ってやったのでした。結果は・・・お察しください。
事例2:私がやることを決めたので指示に従って!
まんがでわかるドラッカーのリーダーシップ論 / nev
主人公が村おこし事業をはじめて最初にぶつかった壁です。
新規事業(村おこし)をまかされた主人公は、集められたメンバー(皆初対面)と会話することもほどほどに自分ひとりで事業の申請書を作成します。またひとりで頑張っちゃって。。。
どうなったのか、続きは、本書でお確かめください。
事例から学べること
この事例からわかる、リーダーとしてやってはいけないこと。それは
- 仕事を全部を抱え込んでしまう。
- 仕事について指示にしたがうことを部下に強要する。
「1.仕事を全部を抱え込んでしまう。」については身に覚えがあり、仕事でキャパオーバーを起こしたことがあります。頑張りすぎると心身に不調をきたすので注意が必要です。
「2.仕事について指示にしたがうことを部下に強要する。」については、それを受けたことはあります。こういう指示のされ方はある意味「楽」だと感じる方もいるかもしれませんが、わたしは好きではありませんでした。
リーダーシップをとるために必要なSTEP
STEP1:何は無くてもコミュニケーション!
特に、気心の知れた社内でチームを起こすという場合は必要ないかも知れませんが、多くの場合いろいろなバックグラウンドを持った人々が召集されチームが結成されます。
お互いのことを知らないまま仕事をすると、思わぬミスコミュニケーション(誤解)を生むことがありますのでまずは、懇親会(コロナ禍でしばらくは難しかったですが)を開くなどしてお互いを知りましょう。
コミュニケーションの成立には、経験の共有が不可欠である。(中略)
P F ドラッカー,ジョゼフ A マチャレロ /プロフェッショナルの原点
組織において、コミュニケーションは手段(mean)ではない。組織のあり方(mode)である。
STEP2:チームのミッション(使命)を決めよう。
次にこのチームで何を達成したいのか、について考えメンバーで共有しましょう。
このミッションの共有がキモとなります。
考えるべきは、いかなるミッションが有効であっていかなるミッションが無効であるかである。ミッションの価値は正しい行動をもたらすことである。
非営利組織の経営 / P.F.ドラッカー
ミッション(使命)が決まれば、メンバー一人ひとりが、その方向性に従い自ら考え行動できるようになります。逆にこのミッション(使命)がぼんやりしていたり、メンバーでしっかり共有できていないとメンバーが各々好き勝手に仕事をしてしまい、全体の方向性がずれていくきっかけとなります。
(補足)事業の定義
事業の定義:「お客様は誰か」「お客様のどんな「困った」に効く商品やサービスを提供するのか」を明確にすること
STEP3:戦略を考えよう。
ミッションが決まったら、そのミッションを達成するための戦略を決めましょう!
本書では、「村おこし」という仕事の中「村内外の人同士のふれあいを増やすこと」というミッションを掲げました。その上で戦略を
- 創造的模倣
- ニッチ戦略
と2つ設定しています。
その事業やミッションにより取るべき戦略は異なりますので、戦略については別途本書以外でお勉強する必要がありそうです。
STEP4:メンバーのやることを決めよう。
一般的に、チームに配属されたメンバーはいろいろな経験・背景を持っています。
ミッションをきめ、皆で共有したのちメンバーが各々仕事をしていくことになりますが、その時は経験・背景に基づいたメンバーの得意分野になるべく沿った仕事の割り振りができると効果的です。
部下の強みを生かそう
一般職の場合
人事においては、仕事が要求するものではなく、その人にできることからスタートしなければならない。
経営者の条件 / PFドラッカー
いきなり畑違いの仕事を上司に任されたらどう感じますか? 頼りにされている、と感じていっそう仕事に身が入るひともいるでしょう。
しかしドラッカーは、まずその人ができることからスタートすべきと述べてます。
できることを仕事として任されると、「わかる!」から仕事がスタートするのでやる気が維持しやすいんですね。逆に、「できない」「やったことがない」とメンバー自身が感じてしまった仕事だとどう思いますか。新しいチームという新しいことで多少なりともストレスを感じる環境下で、さらに仕事の内容でも「やったことがない」「難しそう」と思ってしまうと仕事すること自体が重荷になってしまうことでしょう。
よってドラッカーは、「その人ができること」を把握する上でも
(経営者は)一人ひとりの人について考えなければならない
と唱えているのです。
専門家(Professional)の場合
一方、メンバーの中には、特定の分野で優れた技能を持っているプロがいたりします。このような方々を”専門家”とドラッカーは定義しています。
彼ら(わたし自身が専門家な人間ではないので彼らと称します)は、前項で述べた一般のメンバーとは勝手が違うようです。
彼らにとっては
- 同業者に評価されること
- 自分が熱中できること
が重要と考える人が多いようです。その意味では「できる」「できない」ではなく「高い成果を達成すること自体」「そのことで得られる報酬」がやる気の鍵となるのです。
manageではなくLead、controlではなくdirectを
「一般職」と「専門家」と大きく2つに分けて説明しましたが、人によってやる気の出方が異なるのです。そういう意味でリーダーがすべきこと(リーダーシップ)は
- manage(管理)では無くLead(リード=導くこと)だ
- control(支配)では無くdirect(方向づけ)することだ
と本書では述べています。
STEP5:自身の強みを強く意識しよう
メンバーに「強み」「弱み」があるように、わたしたちリーダーにも「強み」「弱み」があるはずです。世の中に完璧な人間なんていませんから。そしてわたしたちの上司にあたるひとたちも・・・。
ドラッカーは自身の強みをしっかり把握し、部下の強み弱み・上司の強み弱みも理解した上で
- 部下:強みを活かした仕事の配置を(STEP4)
- 上司:上司の弱みを補って動くという発想
この2つが大事だと述べてます。
ただし上記に追加してリーダーが必ず持っていなければいけない資質があります。それは
「真摯さ」= 「正しいこと」を行う勇気 を持つこと
の大事さが述べられています。
本人に悪気がなかった場合でも、その行為が組織に不都合を生み出してしまう場合があります。
本書では、プロジェクトの中で始まったスクールの予約を前提条件として”先着順”と決めていたにも関わらず、スクール予約の担当者の一存で予約の順番を変えてしまっていたことが発覚して問題になりました。
皆さんならこういう問題に直面した場合どうしますか?
ここが”真摯さ”のカギとなる部分です。大きな会社だと自分自身に人事権がない場合が多いため難しいかも知れませんが、何かしら他のメンバーにもわかる形で”真摯さ”示す必要があります。
わたしはかなり難しいな、と感じました。日本人だからでしょうか。
主人公の行った”真摯さ(リーダーシップ)”を表す行いは、本書でお確かめください。
STEP6:チェンジ・リーダーになろう
STEP5までの内容を行なってプロジェクトを進めてきて、ようやく安定期に入ったとします。
リーダーとしてはそれまでの成果が出て一安心、といったところでしょうか。
ですが、21世紀の現代は、変化の時代です。それまで通用していたノウハウが突然通用しなくなることもあります。この目まぐるしい変化に対応できないとプロジェクトの真の成功とは呼べないのではないでしょうか。
とはいえ変化を予測し、一つづつ対応していたらキリがありません。また預言者でもない限り変化を予測しても外れることがあるでしょう。どうすれば良いでしょうか。
ドラッカーは、
「変化はコントロールできない。できることは、その先頭にたつことだけである。」
P .F.ドラッカー
One cannot manage change. One can only be ahead of it.
という言葉を残しており、
自らが変化の担い手(チェンジ・リーダー)となるべきだ。
と述べています。”変化”というと”今までと変わること”と身構えがちですが、ドラッカーはここでも
「変化は常態である(変化することが当たり前)」と述べています。
その上で更に「変化と継続のバランスをとる必要がある」と述べているわけです。
かなり難しく、実際わたしは、元の性格が事なかれ主義(継続重視)なものですから考え方を変えるために色々試行錯誤してみようと思ってます。
悩みに発展してしまうと、精神衛生上良くないので、下記記事のように悩みが深くなる前に解消することを前提として、ですけどね。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございました。
わたしは本書を読み、能力的には優れていなくても良いのでメンバーにとって心地よいリーダーシップを目指して日々研鑽を積んでいこうと思いました。
リーダーとして活躍するには、まず自分自身が健康で元気であることが大原則。